引っ越し時における家電製品の取り扱いについて       

冷  蔵  庫  編
最近の冷蔵庫は大型化して引っ越し荷物の中でも一番の重量物といえます。
その冷蔵庫にも、やってはいけないタブーというものがあります。

①まず、長時間、真横に寝かせてはいけません。
運搬時に横にして運ぶときも、必ず冷蔵庫下部より上部の方が少しでも上になるような持ち方をします。(キチンと取っ手を握って持つと、自然とそうなるように設計されていますのでご安心を。)
これは、理由として、冷媒を使った冷凍サイクル中には、冷媒が液状で存在するべき部分と、気体で存在するべき部分があり、尚且つコンプレッサーを潤滑する冷凍機油が混ざり合って一連の仕事をこなしています。この正常な位置関係を保つために、重力による自然落下を利用している部分があるため、内部機器の通常使用時の上下の位置関係が狂うと、場合によっては、多量の冷凍機油がコンプレッサーや配管にまわってしまい、故障の原因を作ってしまう可能性があります。
冷蔵庫のコンプレッサー部は丸いボンベ状の容器中にモーター、コンプレッサー、冷媒、冷凍機油全てを封入して作られているのでこの様なことがおこりえるわけです。


(冷蔵庫用コンプレッサーの分解画像はコチラ)


やむをえず真横にした時は、設置後、数時間から、出来ることなら1日程度時間を置いてから電源を入れます。
それでも、“絶対大丈夫”という保障は無いので、乗用車等に真横に寝かせて運搬するのは、あくまで、リスクを承知の上での自己責任で、と考えた方がいいでしょう。
まあ、メーカーの方でも、必ず立てた状態で輸送してくださいと言ってはいますが、横向き輸送は必ず壊れるといった言い回しもしてないようですので…。
でも、出来ることなら、大事をとって運送屋さんに頼んで欲しいんですけどね。(笑)
街で見かける冷蔵庫を積んだ電機屋さんのトラック。冷蔵庫は必ず荷台に立ってますよネ。
ちなみに、自動車のエンジンも傾きすぎた状態で使うと壊れます。


②、一旦、抜いたコンセントをすぐに又差し込んではいけません。
必ず、15分程度時間をおいてからコンセントを差し込んでください。

冷蔵庫は基本的にエアコンとほぼ同一の仕組みを持っています。
エアコンには始動、終了のスイッチがあるため、機械が自分できちんとした手順を踏んで始動、終了するのに対して冷蔵庫は常に動きっぱなしのため入、切のスイッチがありません。
コンセントを抜くと終了の手順もヘッタくれもなく、いきなりすべての部品が機能を停止します。
これが冷凍サイクル中の冷媒の状態を不安定な物とし、この状態のまま再始動をするとコンプレッサー等の機器に負担を与え、場合によっては故障の原因となってしまうという物です。


③引っ越し先で搬入据付が終わっても、すぐにはコンセントを差し込まず、1時間程度時間を置いてからコンセントを差し込み、さらに庫内が十分冷えたところで食材を入れてください。
これも理由としては先の②と同様で、移動、運搬時の振動等によって不安定になったサイクル中の冷媒の状態を通常の状態に落ち着かせるためです。
尚、時間はおおよその目安で特に確たる根拠はないようです。
ちなみに、最近の冷蔵庫には保護装置がついているらしく、設置後すぐコンセントを差し込んでも大丈夫であると、殆どのメーカーの説明書には書かれているようです。
ただ、電源を入れてもコンプレッサー保護の遅延回路が働いて、すぐには機械は動かないようです。
まあ、今迄は人間が気を遣って保護していた部分を、冷蔵庫が自ら考えて自分の身を守る術を覚えたわけです。
冷蔵庫にもやっとエアコン並みの頭脳が与えられたというところでしょうか。


よっ!  成長したなっ!!  冷蔵庫。

準    備 冷蔵庫の蒸発皿写真
引っ越しの前日には中の食材を出し、コンセントを引っこ抜いておきましょう。
これは冷蔵庫内部や冷凍サイクルについた霜や氷を溶かすためであり、機械を保護するといった特別な意味合いがあるわけではありません。
輸送直前にコンセントを抜いても、冷蔵庫自体に特別悪影響はありませんが、輸送中のトラックの荷台で、氷や霜が解けて水がこぼれることがありますので注意が必要です。

前日にコンセントを抜き、霜や氷が解けると冷蔵庫下部にある蒸発皿(右参考写真。但し100ℓクラスの小型の機種では背面側のコンプレッサーの上にあるものもある)に水が溜まる仕組みになっています。
溢れる程水が溜まる事はないと思いますが、もし必要なら水を捨ててください。
尚、ここ数年のうちに発売された最新の機種では、蒸発皿が本体に内蔵されていて外部からは触れません。
なので、冷蔵庫の後足付近にバスタオル等を敷いて冷蔵庫本体を後に傾けて水を抜きます。
まあ、抜くというより、こぼすと言ったほうがあたってるかな。
場合によっては結構、バシャバシャ出てきます。
これをやり忘れて運んでしまうと、床がビショビショに‥。
でも、機械自体には影響はないと思います。
是非、ご自分でお運びになるばあいはご参考に‥。

で、引っ越しの当日には、必要に応じて作業員がキルティングパッド等を使って梱包、搬出致します。
もし、作業員が状況を見て必要ないと判断したときは梱包はしません。

引っ越し先に到着して搬入、据付が完了しても、すぐにはコンセントはささず、1時間程度時間を空けてください。
理由は上記③によるものですが、まあ念のためというところでしょうか。

安いもんじゃありませんから‥。


冷蔵庫のアースについて
アース付きコンセント 一般家庭向けの低圧で使うような家電機器であっても、厳密には法令上では全て接地(アース)を取ることが義務付けられています。
しかし、その条文の中に接地工事の省略規定というものがあり、居間に置いたテレビやパソコンなどは、
乾燥した場所に設置するという解釈から、接地(アース)を省略しても構わないという事になっています。

一方、冷蔵庫、電子レンジ等はその設置場所が、台所で水道のある付近という事で、
少なからず水気のある場所であるという解釈から、出来るだけアースをしましょうというトーンに変ります。
なので冷蔵庫では新品購入時にもアース線は標準では付属せずオプション扱いになっています。
要は、付ける付けないは、お客様の判断でどうぞって事ですね。

ちなみに洗濯機は直接水を扱う、エアコンは室外機が屋外で雨に濡れる場合は、水気のある場所に設置という理由でアースは省略できません。


このアースというのは漏電による感電事故を防ぐためのもので、上記のようにその設置場所の環境によって、漏電遮断器と共に法律により設置が義務付けられている物です。
(電気設備に関する技術基準を定める省令,第十条)

稀に、落雷から機器を守るための物と勘違いされている方もおられますが、おもな目的は人体への感電防止と発熱による火災を防止するための物です。
これをつなぐ事により、いざ漏電が起きても、人体への感電事故は防げるというものです。

ホームセンター等で、アース用のコードとして緑色のコードが売ってありますので必要な長さを購入します。

緑色のビニルの部分をカッター等で1センチ程度剥ぎ取り、中の銅線部分を露出させます。
1方は冷蔵庫外側の金属部分、もう1方は、コンセントにアース線を接続する端子があればそこに接続します。

樹脂製のツマミ、またはドライバーでビスを緩め、コードの銅線部分を挟み込むだけでOKです。
  (左  参考写真)

詳しい画像はコチラでどうぞ。
コンセントにこういった接続端子がない場合に、一昔前は水道管に巻きつけたりしていました。
しかし、現在は水道管自体が以前のように鉄管ではなく、殆どが樹脂製の塩ビ管を使っているので地面までの間に1箇所でも塩ビ管の部分があると、もうそれはアースとしての機能を全く果たさなくなってしまいます。
それどころか、場合によっては建物全体に感電の危険性を広げてしまいかねないので、現在では水道管には絶対接続してはいけません。
ガス管はスパークによる引火の危険性がありなおさらです。


台所のコンセントにアース線接続用の端子がない場合は、新たに接地極をうめて工事をしてもらう(電気工事士の免許が必要)か、又は風呂場等に接続端子があればそこまでコードを伸ばして接続すればいいと思います。 
(まあ、現実には分電盤に漏電遮断器が設置されていれば、万一感電したとしても漏電遮断器が作動して電気を遮断しますので、アースは取っていない人も多いですが‥)

尚、あまり一般的には知られていませんが、このアース線をコンセントの端子に接続する作業は法令により、
電気工事士の資格を持ったものしか行えないことになっています。

一般家庭の100ボルト電源での、感電死亡事故というのは、私は身近には聞いたことがありませんが、調べてみると、32ボルトでも死亡事故が報告されているようです。
工事現場等では42ボルトをシニボルトといって危険度のひとつの目安としているようですので、たかが家庭用の100ボルトといえども、ひとたび漏電してしまうと、かなりの危険をもたらしてしまうということでしょう。
皆様、くれぐれもご用心を。

市販のアース棒を使って接地抵抗を測ってみました
お暇のあるかたは覗いてみてください